宇宙航空研究開発機構

突撃!きずな実験レポート 第28回(2015.03.24)

第28回目は「きずな」を使った実験推進業務を行っている、宇宙技術開発株式会社の川杉様にお話を伺いました。

「きずな」実験推進業務を担当して

宇宙技術開発株式会社 第一事業部 宇宙システム技術部 利用情報システムグループ マネージャ 川杉 照雄(かわすぎ てるお)
宇宙技術開発株式会社
第一事業部 宇宙システム技術部
利用情報システムグループ
マネージャ
川杉 照雄
川杉 照雄(かわすぎ てるお)
1986年 宇宙技術開発株式会社 入社

 まずは宇宙技術開発株式会社について教えて頂けないでしょうか。

『宇宙開発と共に!』

 宇宙技術開発株式会社(SED)創立は1983年ですが、宇宙開発との係わりは、1969年に日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられた時から始まっています。それから現在に至るまで宇宙開発と共に歩んで来た会社です。
(参考 http://www.sed.co.jp/index.html


 「きずな」とはどのような関わりがあるのでしょうか。

『「きずな」と共に!』

 2008年2月23日「きずな」打上げ後の、同年4月から「きずな」に関する実験推進業務をSEDが受注したことを契機に、初期の基本実験から現在の利用実証実験に至るまで、実験の全体管理、実験準備・実施・評価、不具合管理などをSEDは実施してきました。
 私自身は当初の2年間と現在(平成26年度)の3年間に亘りSED管理責任者として「きずな」プロジェクトに携わらせて頂いています。
 SEDも私も「きずな」と共に歩んでおります。
 この場を借りて、これまでお世話になった関係者の方々へ感謝申し上げます。


 「きずな」による実験で印象に残った実験はありますか?

『成功裏に終わったハイビジョン伝送実験 NHK北京オリンピック!!』

 印象に残った実験はたくさんありますが、中でも特に印象深いのは2008年(「きずな」実験最初の年)に実施した「ハイビジョン伝送実験 北京オリンピック」です。
 今では普通に行っているアクセラレータによるファイル転送、コーデックによる多重映像双方向伝送、マルチキャスト映像伝送、長時間映像伝送など、当時は検証段階であったため、最良のネットワーク構成、機器の設定等を確立するのに大変苦労しました。「きずな」基本実験のスタートは、一筋縄ではいかない厳しいものでした。
 検証作業ではNHKさんのサーバ室に数日長い時間詰めることもあり、夏場にかかわらす身体が冷えきってしまうなど肉体的にも精神的にも疲労困憊したことを覚えています。
 しかしその甲斐あって、北京オリンピックの本番では大きなトラブルも無く成功裏に終わることができました。
 JAXAさん、NHKさんをはじめとする関係各社が一つになって挑んだ結果の賜物でした。



NHK放送センターに設置した「きずな」地球局


 実験等で「きずな」地球局を使用して、利用者の反応はいかがでしたでしょうか。

『あの中華鍋がすごい!』

 利用者の反応も様々ありますが、これも北京オリンピックでのことです。
 NHK中国総局の屋上に設置した地球局(可搬型USAT)を経由して映し出された北京五輪サッカー試合のハイビジョン映像(送信元はNHK渋谷放送センターに設置の51M-VSAT)を現地中国総局の方々が見て、「屋上に設置した小さい中華鍋のようなアンテナでこんなに綺麗な映像が見られるの?」とびっくりしていたのを思い出します。
 中国だけにまさに中華鍋という見事な表現でしたが、これも「きずな」のマルチビーム・アンテナ、マルチポートアンプによる大きな送信電力と受信側の可搬型地球局とのコンビネーション技術があったからこそ成しえた結果だと思います。



NHK中国総局の屋上に設置した「きずな」地球局


 「きずな」や今後のJAXAの通信衛星の技術開発に期待することはありますか。

『もっとコンパクトにそして実用化へ!』

 今の地球局はそれほど大きくは無いですが、周辺装置を含めてもっとコンパクトに、組立ももっとシンプルに、そして素早く通信ができるようになればいいと思います。
 また「きずな」を使った様々な実証実験(防災、放送、遠隔教育、遠隔医療、社会化)を実施してきましたが、これが実験に留まらずこれまで得られた成果を基に、実用化へ向けた次期衛星の開発と利用へ繋げることができれば、地域社会、国際社会への更なる貢献が期待されます。
 まさに「いつでも、どこでも、だれでも」の「きずな」キャッチフレーズがよりマッチし、これからも利用者に愛され生き続けます。
 SEDとしても、これまでの経験と技術ノウハウを生かし、今後の「きずな」プロジェクトへの参画、そして支えて行きたいと考えています。