宇宙航空研究開発機構

突撃!きずな実験レポート 第26回(2015.02.13)

第26回目は九都県市合同防災訓練において『きずな』回線を利用頂きました、相模原市危機管理局緊急対策課の坂本様にお話を伺いました。

「きずな」と「相模原市」

相模原市 危機管理局 緊急対策課 主任 坂本 学
相模原市 危機管理局 緊急対策課
主任
坂本 学
坂本 学(さかもと まなぶ)
平成19年      入庁
平成25年~   危機管理局 緊急対策課にて防災業務に従事

 緊急対策課 情報通信班の業務内容を教えてください。

『災害時における通信手段の確保及び平常時の通信訓練などを中心に業務を行っています。』

 災害時には、普段使用できている通信インフラが途絶してしまう可能性があります。そのため、複数の通信手段を確保することが重要と考えております。
 ただし、通信手段はただ確保すればよいというものではなく、平常時から通信訓練を行い、複数化された通信機器を使いこなすことが重要と考えております。
 本市においては、東日本大震災を契機に、それまで配備をしていた通信手段に加え、新たな通信手段(衛星携帯電話、簡易無線、MCA無線、PHS電話など)の確保に加えし、「きずな」について、JAXA様と協定を締結し、定期的に通信訓練を実施しております。



平成26年9月に実施した九都県市合同防災訓練時のきずな地球局設置風景
(左:在日米陸軍相模総合補給廠 右:帝京大学総合グラウンド)



 平成26年2月の大雪では相模原市ではどのような対応を行いましたか。情報通信班が担当する災害対策の課題を教えてください。

『帰宅困難者への緊急避難場所の提供、市民への情報提供及び雪崩危険箇所の警戒などを行いました。』

 本市においては、最大積雪104センチを観測した地域があり、公共交通機関や道路が使用できなくなってしまうなど、市民生活に大きな影響がありました。
 幸い大規模な停電等はなく、一般電話などは使用することができましたが、大雪により影響のあった事象(公共交通機関の運行状況、道路の除雪状況及びごみの回収状況など)について、情報提供する頻度、時間帯及び表記方法について課題が残りました。


 相模原市とJAXAは平成24年3月に「相模原市における超高速インターネット衛星を用いた防災利用実証実験に関する協定」を締結していますが、協定を締結するに至った背景を教えてください。

『「きずな」による通信手段の多重化と防災利用の有用性の検証を目的としています。』

 本市では、東日本大震災を契機に通信の多重化を目的として通信機器の整備を行ってきました。その中でJAXA様が所有する「きずな」と出会い、協定締結の運びとなりました。
 本市においては災害時に衛星回線を確保することができることで、通信手段の更なる強化を図ることができていますし、JAXA様におかれましては宇宙技術の防災利用に関する実証実験の場として有用性のあるものと認識しております。


 これまでに、何回か「きずな」を使用した訓練(実験)を実施してきましたが、「きずな」にどのような印象を持ちましたか。また、相模原市における災害対策において「きずな」の利用は有効であると思いますか。また、その理由を教えてください。

『拠点間を結ぶ「きずな」という印象を持っています。』

 本市では山間部を抱えている特性上、風水害等による山間地域の孤立対策として「きずな」を用いた訓練を定期的に実施しております。また、平成26年度の訓練では、九都県市総合防災訓練の主会場を担い、さまざまな訓練の一環として「きずな」の通信訓練を行いました。訓練では「きずな」を用いて、孤立地区での災害対応状況を災害対策本部に音声と画像で伝送することで、現場の状況をリアルタイムで共有でき、有用性を確認することができています。



平成26年9月に実施した九都県市合同防災訓練時の「きずな」による映像伝送
(左:在日米陸軍相模総合補給廠 右:帝京大学総合グラウンド)


 災害時に通信衛星を活用するために要望や課題はありますか。また、将来の通信衛星に期待することは何でしょうか。

『“想定外”を“想定内”へ。』

 災害対策全般に言えることと思いますが、災害に備えるため、訓練などを通じて課題を抽出し、対応を図ることが重要かと思います。
 「きずな」についての有用性は訓練を通じて確認しているところではおりますが、本市のみならず、同様の協定を締結している自治体が多数あると思います。また、機器の数量や JAXA職員の方々の人数には限りがあろうかと思っております。
 その中で、もし、広範囲おける大規模災害が発生した場合、「機器の確保はできるのか」、「人的派遣は望めるのか」、「本市職員のみで運用できるのか」など、物理的な課題が挙げられると思います。
 上記のような課題は一例に過ぎませんが、これらの課題について、一つ一つ答えをだしていくことで、“想定外”を“想定内”に変えていく作業が今後の課題と考えております。