宇宙航空研究開発機構

突撃!きずな実験レポート 第20回(2013.03.01)

第20回目は「きずな」を使った利用実験実施協議会の事務局を務める一般社団法人電波産業会の越野様にお話を伺いました。

『 「きずな」 (WINDS) 利用実験について』

一般社団法人電波産業会 担当部長 越野 真行
一般社団法人電波産業会
担当部長
越野 真行
越野 真行(こしの まさゆき)
経歴
・2011年 一般社団法人 電波産業会 入社

 まず、一般社団法人電波産業会について教えていただけないでしょうか。

『通信・放送分野の電波利用に関する調査、研究、開発、コンサルティング』

 この事業分野に基づき、「きずな」利用実験では、利用実験実施に際して、実験者である各会員の大学、研究機関と、「きずな」運用者であるJAXA、NICT間の調整等を行っております。


 電波産業会殿が事務局を務める、利用実験実施協議会とはどういったものでしょうか?

『WINDS利用実験に関するスケジュール調整、情報交換及び実験結果のとりまとめを行います。』

 WINDS実験は、衛星開発機関(JAXA及びNICT)が実施する衛星の要素技術を検証する基本実験と国内外の大学・研究機関等が衛星環境に適応した衛星アプリケーション開発のために実施する利用実験からなっています。利用実験実施協議会では、利用実験実施に際して、実験者である各会員の大学、研究機関と、衛星運用者のJAXA、NICT間の調整、情報交換、実験結果のとりまとめや、問題発生時の分析検討、対策を行っております。


 「きずな」は打ち上げから5年経ち、利用実験実施協議会は今後解散する予定ですが、利用実験の成果を教えてください。

『多くの利用分野にて衛星通信の有効性を実証し、衛星利用環境に適した衛星アプリケーションの開発を行うことができました。』

 遠隔教育、防災、医療関連、伝送、電波伝搬など多くの利用分野にて、遅延、降雨干渉のある衛星利用環境に適した衛星アプリケーション、伝搬、伝送方式の開発を行いました。それにより、これら利用分野で開発アプリケーションが有効に機能することを実証し、衛星利用環境における通信の品質向上、安定性を確立実証致しました。


 利用実験を通して苦労話や思い出話、記憶に残るエピソード等ありましたらお聞かせ下さい。

『海外連携実験で、日本の東日本大震災も含め各国で洪水などの自然災害が発生し、実験が中止、縮小に追い込まれました。』

 「きずな」衛星通信ネットワークが耐災害性の強いネットワークであっても、地球局から先の各国の地上ネットワークが災害に脆弱で寸断されてしまう事態となりました。そうなった場合、地上ネットワークは復旧に時間を要するためその影響は長期間に渡ることとなります。通信インフラの耐災害性の強化については、衛星ネットワーク、地上ネットワーク全体を通して考えていく必要があると感じました。


 利用実験実施者(または利用実験実施協議会)の視点から将来の情報通信衛星への期待を教えてください。

『災害時における社会通信インフラのバックアップとしての役割と、災害地への迅速な通信インフラ回復、展開の役割』

 東日本大震災以来、通信インフラの耐災害性の強化と、災害時に崩壊した通信インフラの迅速な復旧、展開が求められています。情報通信衛星を基幹とする無線アドホックネットワークはこの要望に唯一応えられるシステムであり、そのためには今後、地球局の簡易、軽量化、設置の容易性、専門家でなくとも簡単に使える簡易な操作性が必要となります。また、無線アドホックネットワークを構成するために、地球局、通信衛星、衛星基準局で自律的にネットワークを構成できる自律ネットワーク構成機能も必要になるものと考えられます。