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突撃!きずな実験レポート 第17回(2012.9.13)

第17回目は平成24年度政府総合防災訓練・広域医療搬送訓練において「きずな」を利用した防災利用実証実験を実施しました高知県危機管理部危機管理・防災課長の酒井様にお話を伺いました。

『南海地震等大規模災害発生時の通信の確保について』

高知県危機管理部 危機管理・防災課長 酒井 浩一
高知県危機管理部
危機管理・防災課長
酒井 浩一
酒井 浩一(さかい こういち)
2003年 危機管理課チーフ(震災対策担当)
2007年 企画調整課課長補佐
2009年 危機管理課長
2011年 危機管理・防災課長

 危機管理・防災課の業務内容を教えてください。

『県民の皆様が安全・安心に暮らせる社会づくりを目指し、自然災害をはじめとする危機事象全般への対応及び県全体の情報通信・情報処理の総括を行っています。』

 危機管理・防災課では、県民の皆様が安全・安心に暮らせる社会づくりを目標とする危機管理部において、台風や集中豪雨等の防災対策と高病原性鳥インフルエンザなどの危機事象対策の業務を行っています。

 また、災害時に市町村や出先機関等との通信を行うための防災行政無線システムや県民の皆様に防災情報をお知らせする防災情報システムの運用も行っています。


 南海地震に備えた高知県としての通信のあり方、取り組みについて紹介してください。

『応急対策のポイントは「情報」にありと考えています。』

 応急対策を迅速、効果的に行うために極めて重要となりますのが、情報の収集及び伝達と考えています。

 県では、地上系の防災行政無線を第一の通信手段として、万一、通信設備が被災した場合には、出先機関の職員が土木事務所や福祉保健所等に配備した移動系の防災行政無線を持って役場に出向いて通信を確保することを計画しています。

 また、地域衛星通信ネットワークを利用した衛星可搬局や電気通信事業者の衛星携帯電話で通信を確保することも想定しており、こうした多重的な備えが大切であると考えています。



 本年(平成24年)6月10日の高知県総合防災訓練では「きずな」によるインターネット回線で広域災害救急医療情報システム(EMIS)および広域医療搬送患者情報管理システム(MATTS)を使用していただきましたが、災害時の「きずな」の利用に関する印象をお聞かせください。

『「非常通信」の手段として被災現地からの情報発信や情報収集に効果』

 今回の訓練では、通信網が途絶した広域搬送拠点臨時医療施設(SCU)において、「きずな」によりインターネット環境を臨時的に整備し、広域災害救急医療情報システム等への入力や検索を行う訓練を通じて「きずな」の性能を目の当たりにしました。

 南海地震発生時には、被災現地において臨機応変に、通信の確保やインターネットの利用環境を整える必要があると考えています。

 「きずな」の利用は、通信インフラが寸断された被災地において、あらゆる通信手段を利用して通信の確保を行う「非常通信」として有効であると考えています。

 一方、実際に活用するためには、南海地震発生時の搬入方法や運用方法等を事前に計画し、訓練を繰り返し行う必要があると思います。



 3連動地震含む超広域災害時に、衛星通信の果たす役割はどのようにお考えでしょうか。

『支援機関相互の通信を確保して効果的な応援活動』

 大規模災害時には、応急救助や医療、福祉など様々な分野の応援部隊の派遣をいただかなければなりません。これらの機関が円滑に活動を実施するためにも「情報」が必要です。こうした応援部隊の連絡手段として、機動性に優れ被災地域の通信インフラの影響を受けることのない衛星通信が力を発揮し、効果的な応援活動が行えるものと考えます。


 将来の通信衛星に期待することをお聞かせください。

『コストと使いやすさ』

 県内の市町村では衛星携帯電話の導入が進んでいます。県も既に衛星携帯電話を導入し、災害時にいつでも利用できるように準備をしています。しかしながら、地上の通信サービスと比較しますと整備と運用の両面でコストがかかるのが実情です。

 また、衛星通信の利用者のニーズに沿った高速通信など幅広い通信サービスが求められます。

 超高速インターネット衛星「きずな」を用いた防災利用の実験の成果がコストの低廉化や利用者の求める使いやすさに繋がるものと期待しています。