宇宙航空研究開発機構

突撃!きずな実験レポート 第16回(2012.1.23)

第16回目は平成23年度高知県広域医療搬送訓練において「きずな」を利用した防災利用実証実験を実施しました高知県医療政策・医師確保課長の川内様にお話を伺いました。

『衛星通信の活用による災害医療の進化への期待』

徳島県危機管理政策課 課長補佐 坂東 淳
高知県健康政策部
医療政策・医師確保課長
川内 敦文
川内 敦文(かわうち あつふみ)
1996年 東京医科歯科大学医学部医学科卒業
1997年~2007年 厚生省・福岡県・厚生労働省勤務
2007年 高知県健康福祉部医療薬務課長
2011年 高知県健康政策部医療政策・医師確保課長

 健康政策部の業務内容を教えてください。

『地域医療の再生などを通じて「日本一の健康長寿県」を目指しています。』
                    

 健康政策部では高知県の保健・医療・生活衛生の向上を図り、県民の生命と安全を守る業務を担っています。特に今後30年間に60%程度の確率で発生すると予測されている南海地震への備えと災害医療体制の構築に力を入れており、東日本大震災の教訓を踏まえて、県の災害時医療救護計画の見直しを行なっています。なかでも、県内の医療資源だけでは被災した重症患者への医療提供は困難ですので、国や他の府県との連携により域外に患者を搬送する「広域医療搬送」体制の整備が急務と考えています。


 災害時の広域医療搬送活動における情報通信の課題を教えて下さい。

『災害医療対策本部における被災状況や搬送拠点での活動状況の正確な把握が大きな課題です。』

 広域医療搬送では、搬送対象となる患者数の把握と搬送手段の確保など、調整が必要な項目が多岐にわたります。そのためにも、できるだけ正確な被災状況と広域医療搬送拠点へのDMAT等の参集状況の把握が必要になります。この時、衛星通信の活用によりインターネット回線へのアクセシビリティを確保できると、情報収集と分析の効率性が飛躍的に高まります。


 東日本大震災とそれ以前で、高知県の災害時の通信に対する考え方は変わりましたか。

『多元的な情報収集手段の確保の必要性を痛感しました。』

 東日本大震災における本県の災害対応や被災地支援では、情報収集が初動期における対応の優位性に大きく影響することを痛感しました。高知県では国と連携した広域災害・救急医療情報システムの整備や災害拠点病院等への衛星携帯電話の配備を行なってきていますが、既存の通信手段の途絶を前提として、平時から衛星通信を含めた多元的な情報収集ツールの確保と活用体制を整備しておく必要があります。


 今回の実験では「きずな」によるテレビ会議やインターネットを使っていただきましたが、災害医療という観点で衛星通信はどのような点で役立つと思いますか。

『衛星通信の利活用は災害医療のインテリジェンスを高めるものと考えます。』

 災害医療は情報が全体戦略を左右します。特に初動期は救助や医療活動に多くの人的・物的資源を投入する必要があるため、多様な情報の大量流通に必要なIP化を視野に入れることが可能な衛星通信の利活用により、医療救護戦略におけるインテリジェンスが高まることを期待します。


 今後の災害医療で「きずな」のような衛星通信の利用を検討されるお考えはありますか。また、将来の通信衛星に期待することは何でしょうか。

『医療だけでなく、災害対策全般において衛星通信の利活用が一般化することを期待しています。』

 今回の訓練を通じて、衛星通信を活用したインターネット回線経由の接続で情報通信手段の多元性が確保できることが実感できました。災害医療対応では被災側のみならず、支援側の情報通信手段の確保にも寄与します。もちろん、医療だけでなく災害対応全般における衛星通信の利活用の検討が必要です。今後、可搬型地球局のさらなる小型軽量化が進めばこれらの普及が促進されるのではないでしょうか。