宇宙航空研究開発機構

突撃!きずな実験レポート 第15回(2011.12.21)

第15回目は、徳島県における「きずな」を利用した防災利用実証実験として通信実験を行いました徳島県危機管理政策課課長補佐の坂東様にお話を伺いました。

『衛星インターネットによる日常的なシステム利用を目指して』

徳島県危機管理政策課 課長補佐 坂東 淳
徳島県危機管理政策課
課長補佐
坂東 淳
坂東 淳(ばんどう まこと)
1988年 熊本大学卒業後、徳島県入庁
2007年 危機管理局企画課
2011年 危機管理政策課

 災害時の情報伝達体制はどうあるべきでしょうか?

『回線途絶に関する具体的な対策が必要です。』
                    

 情報伝達に必要な要素は3つあると考えています。利用者が直接情報を取り出す「端末」、インフラとなる「通信回線」、そして情報を送り出す「サービス」です。これらのいずれが欠けても情報伝達が成り立たない訳ですが、災害時には特に「通信回線」の途絶への具体的な対策が求められると思います。


 衛星通信はそうした体制構築に役立つとお考えでしょうか?

『回線と端末の役割を分離することで効果的な活用が期待できます。』

 衛星通信は、通信コスト的には不利と考えられがちですが、災害時の通信リスクを考慮した場合、必ずしも高価とは言えないと考えています。ただ、これまでの衛星携帯電話のように、端末+回線+通話サービスが一体となった形ではなく、「きずな」のような衛星インターネット回線を日常的な利用端末と接続できる形で、費用対効果を高める必要があると思います。


 それは具体的にはどのようなイメージでしょうか?

『IP化により回線の複線化を図ることができます。』
IP化により回線の複線化を図ることができます。

 インターネットに接続できる端末機器は、現在ではパソコン、スマートフォン、携帯電話等、多岐に亘っており、また、クラウドサービスの充実により特定の端末でないとできないサービスは減少しています。これまで衛星回線が災害時に使い辛いといわれる問題の多くは、実は端末に関するもの(日常的に使用していないことによるバッテリ切れ、操作方法に未習熟等)であり、今後はIP(インターネットプロトコル)によって、日常的に利用している様々な端末が接続可能な通信環境を整備することによって、通信衛星の活用範囲は広がっていくと考えています。



 今回の実証実験ではどのような成果がありましたか?

『様々な業務システムの利用環境が確保できそうです。』

様々な業務システムの利用環境が確保できそうです。

 今回は、防災通信を担当している部署だけでなく、現代の組織的な災害対応に不可欠となりつつある情報システム部門の全面的な協力を得て、職員が日常的に利用している機器を衛星通信経由でどれだけ使えるかといった観点から実験を行いました。

 具体的には、メールやグループウェアといった庁内システムを、セキュリティを考慮しつつ衛星インターネット経由で利用するほか、衛星回線を経由したフェムトセルを活用し一般の携帯電話での通話などを行いました。

 今回の実証実験で、災害時だからといって職員に特殊な操作を求めることなく日常的に利用している通信環境を確保するための課題整理ができたと考えています。


 今後、災害対応体制確立において「衛星通信」の活用方法についてお聞かせください。

『動的な複線化がキーワードと思います。』
動的な複線化がキーワードと思います。

 先の東日本大震災では、初動対応における通信確保の重要性を改めて認識する結果となりました。地上インフラが最小限で済む通信衛星が多くの場面で活用されたと聞いています。従来は、衛星回線の専用端末としてのものが多かったのですが、これからは、日常的な端末が必要に応じて地上回線と衛星回線を切り替えながら利用できるような環境を整えることにより、災害に強い通信衛星の活用場面が広がっていくと考えています。