宇宙航空研究開発機構

突撃!きずな実験レポート 第13回(2011.06.14)

第13回目は、東日本大震災により広域の沿岸部が未曾有の被害を受けられた岩手県において、JAXAの災害支援として「きずな」を用いたブロードバンド環境をご利用いただいた岩手県沿岸広域振興局長の中村一郎様にお話を伺いました。

『災害にも強い街づくりを目指して』

岩手県沿岸広域振興局局長 中村一郎
岩手県沿岸広域振興局長
中村一郎
中村一郎(なかむらいちろう)
東京大学法学部卒業
昭和54年岩手県入庁
平成15年政策調査監、平成19年予算調整課長
平成20年総合政策部副部長兼主席政策監
平成22年沿岸広域振興局長。

 東日本大震災前の岩手県沿岸広域振興局の防災通信としては、どのようなものがありましたか。

『防災携帯電話、衛星携帯電話等』
                                    

 通常の固定電話、幹部職員や防災担当職員の防災携帯電話、更には、非常用として衛星携帯電話などを整備していました。

 東日本大震災直後、県災害対策本部(県庁)と現地対策本部(沿岸広域振興局)の間の課題があればお聞かせ下さい。

『不十分な通信手段』』

不十分な通信手段  震災の直後、通信手段である固定電話、携帯電話は不通となり、電気も停電、更には、沿岸部の道路は津波により通行ができない状況でした。そのため、情報収集ができず、現地がどういう状況になっているか中々把握できず困りました。 本庁(盛岡)との通信手段は、通常の通信手段が使えないため、唯一の手段である衛星携帯電話を使用しましたが、感度が悪く、使い勝手は良くありませんでした。 県の防災計画でも、通信手段がことごとく使えないという状況は想定していなかったので、今後の計画見直しに当たっても留意していきたいと考えています。




 岩手県沿岸広域振興局に、3月19日から4月24日まで「きずな」(WINDS)通信回線によるハイビジョンテレビ会議やインターネット環境を提供し、ご利用いただきましたが、どの様な点で役立ちましたか。

『明瞭でタイムラグなし』

 本庁と釜石、大船渡に、「きずな」(WINDS)を配置してもらいましたが、次のような点で役立ちました。

 ・映像が明瞭で、音声もタイムラグがないので、パソコンのテレビ会議より、双方向の意見交換を行う会議がやりやすかったこと。

 ・画面も大きいことから、資料等も、画面表示ができ、また、デジタルの写真画像等も表示可能なこと。

明瞭でタイムラグなし  また、合庁1Fフロアに無線方式のインターネット回線とパソコン端末を配備していただき、多くの被災者等の方々が情報収集を行っていました。被災されたある事業者は、会社の受注や発注を行う際に利用し、大変役立ったと感謝されました。

 テレビ会議については、機器の配備が、宮古合庁、久慈合庁、奥州合庁にもできれば、県内の各振興局をカバーし、本庁との会議も開催できることから、今後の検討課題と考えています。




 東日本大震災のような甚大な災害時の防災通信として役立つものは何でしょうか。

『衛星通信』

 大規模かつ長時間の停電等により、一般回線及び携帯電話が不通となる場合があるため、衛星携帯電話を含む衛星通信が唯一の通信手段と考えています。


 今後の防災計画の中で、「きずな」のような衛星通信の利用を検討されるお考えはありますか?

『有(所要経費が課題)』

有(所要経費が課題)  防災通信の有力な手段として、衛星通信を大いに活用していく必要があると思います。その際、機器のコスト、コンパクト化、使いやすさ等にまだ改善の余地があるので、それらの点が改善されれば、今後、活用度合いが更に高まってくると考えています。