宇宙航空研究開発機構

突撃!きずな実験レポート 第1回(2009.10.16)

第1回目は「きずな」の特徴や今後の展望についてミッションマネージャの中尾より紹介させていただきます。

『見上げる宇宙から使いやすい宇宙へ』

宇宙航空研究開発機構 WINDSミッションマネージャ 中尾 正博
宇宙航空研究開発機構
WINDSミッションマネージャ
中尾 正博
中尾 正博(なかお まさひろ)
経歴
 九州大学大学院電子工学専攻を修了し、宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構)に入社。人工衛星の追跡管制、宇宙用部品の開発、人工衛星の開発を経て、現在に至る。
 超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)においては、ミッションマネージャとして、実験実施及び運用のとりまとめを担当している。

 「きずな」の通信回線網は今までとどう違うのですか?

『汎用機器を使って様々な情報を伝送可能な高機能・高性能の衛星通信ができ、見上げる宇宙から使いやすい宇宙へと変わります』

 「きずな」は、静止通信衛星が持つ①広域性、②耐災害性、③同報性などの特長を活かした上で、高度情報通信ネットワーク社会の形成に貢献するための技術開発・実証並びに実証実験を、実施するための研究開発衛星として、独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)殿と協力して開発された衛星です。


 特に、アンテナ径45cmと超小型の地球局は衛星放送用受信アンテナと同じくらいの大きさで、100Mbps以上という超高速での受信が可能で、現在商用サービスされているIP衛星通信の10倍以上の高速です。また、インターネットプロトコル(IP)での双方向の通信が可能で、地上のインターネットに使用されているPC等の汎用機器を使って衛星通信が可能です。


 「きずな」を打ち上げてからどんなことが実証できていますか?

『複数のリアルタイムハイビジョン映像伝送やインターネット網との接続等が実証できています』

 「きずな」を打ち上げて、約1年半経過しました。開発時は技術開発・実証を主として進めてきましたが、現在は、主として実証実験を実施しています。今までに防災分野・遠隔教育分野・報道分野等で様々な実験を進めてきました。

 防災分野では、国、地方自治体から災害ボランティアレベルまで、有効であることを広く実証しました。遠隔教育分野では、日本国内及びアジアの大学と結んで、双方向リアルタイム通信が問題なくできることを実証してきました。報道分野では報道機関に実際に使って頂き運用性を評価しました。


 これらの実験を通して、可搬型地球局を使用した複数同時のリアルタイムハイビジョン映像伝送、ハイビジョンテレビ会議、メッシュ型通信ができることを実証しました。また、メールやweb閲覧等インターネット網との接続も確認できました(詳細は実験のページをご覧ください)。


 「きずな」はどんなふうに使えますか?

『いろんな情報を、いつでも、どこでも、誰とでも、です。』

 「きずな」は小型地球局で大容量・高速通信が可能な高性能・高機能な衛星通信のインフラです。今まで通信回線が細かった地域ではできなかった映像やインターネット接続等、様々な情報の送受信ができるようになります。


 上述した実証済みの使い方の他に、遠隔医療分野・国際協力分野にも適用可能で、実証実験の計画を進めています。さらに海外の広い地域にも対応できるようアクティブフェーズドアレイアンテナ(APAA)地域用小型地球局の開発をNICT殿と協力して進めるなど、使いやすい通信システムを目指して改善を進めています。

 また、NICT殿やWINDS利用実験実施協議会殿が実施してきた実験もあり、JAXAが実施する実験以外にも、様々な機関が様々な実験を実施しており、使い方が広がっています。



 このコーナーでは、「きずな」を使った方々に感想を述べて頂きますので、「きずな」のIPでの高速・大容量ができる新しい衛星通信の世界をご覧になってください。皆様も「きずな」を使ってみたいという希望を持って頂ければ幸いです。皆様のお力添えにより「きずな」の高速・大容量衛星通信の使い方がなおいっそう広がっていくことを望みます。


今までにJAXAが実施した実験等の写真です。