GPS津波計からのデータ伝送実験

実験実施日

平成25年12月13日〜平成26年1月5日

実験機関

高知工業高等専門学校(高知高専)、東京大学地震研究所、日立造船株式会社(Hitz)、情報通信研究機構(NICT)、JAXA

実験場所

高知県室戸沖 黒潮牧場16号ブイ(洋上)
日立造船株式会社本社 大阪市住之江区

実験概要

 高知県室戸沖に浮かぶ、高知県の黒潮牧場16号ブイ上に津波や波浪を観測するGPS津波計を設置し、その観測に必要な精密暦※1データを準天頂衛星初号機「みちびき」を用いて送り、GPS津波計にて観測したデータを技術試験衛星[型「きく8号」で陸上に伝送する実験を行いました。なお、この実験は文科省宇宙科学技術推進調整委託費で支援されています。
 昨年度の実験結果を受け、「きく8号」の通信品質の改善と「みちびき」によりGPS津波計の測位(精密単独測位:PPP※2)に必要となる精密暦データの配信を行い、GPS津波計の沖合展開が距離に制限されることなく可能であることを実証します。




GPS津波計のデータの流れ

 昨年度の実験については、下記URLで確認することができます。
 http://www.satnavi.jaxa.jp/project/ets8/news/2012/121025.html

 「みちびき」の情報は、下記URLで確認することができます。
 http://www.jaxa.jp/projects/sat/qzss/index_j.html

※1.精密暦:GPS衛星の軌道と時計の補強信号で、今回は「みちびき」のLEX信号(「みちびき」独自の実験信号)を用いて伝送しています。

※2.精密単独測位(PPP):精密測位を行う手法の一つで、従来のGPS信号のみを使用した測位では、数m程度の誤差が発生しますが、「みちびき」により伝送される精密暦データを併用して測位を行うことにより、数cm程度の誤差に抑えることが可能となります。


室戸沖 黒潮牧場16号ブイの位置

 


室戸沖 黒潮牧場16号ブイ


観測データ送信端末(16号ブイ上)

 

観測データ受信局(Hitz屋上)

実験結果

 当初、平成25年12月13日から実験を行う予定でしたが、ブイ搭載電源の蓄電能力と冬季の太陽電池発電量の低下およびこれに伴う機器故障のトラブルが発生し、平成26年1月3日〜5日の3日間での実験実施となりました。(このトラブルにおいて、「きく8号」および「みちびき」の機器に影響はありませんでした)
 実質3日間の実験期間ではありましたが、「みちびき」による精密暦データ(LEX信号)の伝送により、ブイ上のGPS津波計にて計測(精密単独測位:PPP)した波浪と潮汐の測位データを「きく8号」により陸上側にリアルタイムで伝送することができました。
 これらの結果により、衛星によるデータ伝送が大規模な津波発生時に、非常に有効であることが実証できました。
 衛星を使用することにより、GPS津波計が沖合の距離に制限されることなく利用可能であり、津波予測に必要な測位データを津波の影響を受けない場所への伝送が可能となります。

 本実験で取得したデータは、下記URLで確認することができます。(「みちびき」と「きく8号」を用いたGPS津波計による早期津波警戒システムによるデータ公開)
 http://www.tsunamigps.com/ARLEX/top.php



※潮汐を含む波浪のデータを上段、波浪データをフィルタリングで除去した結果を下段に赤線で示している。数分から数時間周期の津波があれば下段に表示される。