東日本大震災における回線提供支援

実験実施日

大船渡市:平成23年3月24日〜4月10日
大槌町:平成23年4月4日〜4月21日
女川町:平成23年4月26日〜5月12日

実験機関

大船渡市、大槌町災害対策本部、宮城県女川町災害対策本部、JAXA

実験場所

大船渡市役所 岩手県大船渡市
大槌町中央公民館 岩手県大槌町
女川町高白浜避難所 宮城県女川町
筑波宇宙センター ※インターネットゲートウェイ局

実験概要

 JAXAは東日本大震災の災害支援として、被災地である「大船渡市」、「大槌町」、「女川町」に可搬型通信端末(可搬型90cmアンテナ)を設置し、通信インフラとして「きく8号」による衛星回線を介したインターネット環境を提供しました。
 インターネットへのゲートウェイ局は、筑波宇宙センターに設置した可搬型通信端末(可搬型1.2mアンテナ)と地上のインターネット回線に接続することで対応しました。
 今回の回線提供については、「きく8号」が持ちうる機能・性能とリソースを最大限に活用し各支援場所で有効活用して頂き、これまでの通信実験や訓練での成果が適用可能なことが実証できました。

※なお、「きく8号」と通信を行う可搬型通信端末は1対1での通信方式となっているため、大船渡市役所と大槌町中央公民館とで提供が重なっていた期間(平成23年4月4日〜4月10日)については、インターネットゲートウェイ局である筑波宇宙センターに2台の可搬型通信端末を設置し、それぞれ大船渡市役所と大槌町中央公民館の可搬型通信端末と通信を行いました。

実験結果

◆大船渡市役所
 大船渡市役所では災害対策本部での利用として、インターネット回線及びIP電話回線を提供を行い、インターネット用PC2台、IP電話3台を設置しました。今回の支援は災害時の形態としては初めての試みとなり、大船渡市によるインターネットでの情報収集、IP電話での関係機関との連絡に役立てられました。
 4月7日深夜に発生した最大級の余震(震度6強)では、4月8日にかけて停電が発生する中、ポータブル発電機によりインターネット回線の継続提供を行い、対策本部の情報収集に活用されました。
 大船渡市役所より「IP電話に関しては、衛星携帯電話と比較して遅延が少ないため非常に話しやすい」、「JAXAの支援は、地上インフラが崩壊している中、非常にありがたく、助かった。」というコメントをいただきました。
 「きく8号」については、回線速度に制約はあるものの、可搬型通信端末の機動性・運用性に優れていることから、大災害発生時の初動対応としての回線確保に有効であることが実証されました。

 


可搬型90cmアンテナの設置状況


利用の様子

 

◆大槌町中央公民館
 大槌町では、災害対策本部兼避難所となっていた大槌町中央公民館にて回線提供を行いましたが、既にNTTより衛星携帯電話が設置されていたことから、インターネット利用のみの回線提供として3台のPCを設置しました。
 主に避難されている方による安否情報確認や罹災証明等に関する情報収集、個人及び災害対策支援者のweb閲覧、メール利用に役立てられました。
 また、4月7日の余震発生翌日も停電する中、ポータブル発電機の使用により衛星回線の提供を行いました。
 岩手県沿岸広域振興局より「迅速な対応ありがとうございました。一般向けの回線があるのとないのとで、ずいぶん違います。」とのお話しをいただきました。
 被災地のニーズとして、防災アプリケーションよりも通話/インターネット機能が最優先であることが分かりました。

 


可搬型90cmアンテナの設置状況


利用の様子

 

◆女川町高白浜避難所
 女川町では避難所にてインターネット環境を提供致しました。
 避難されている方による中古車情報、宿泊施設検索などの生活情報収集、被災地衛星写真閲覧、宮城県市町村別避難者リスト閲覧、津波動画閲覧などの災害復旧情報確認に役立てられました。
 また、可能な限り支援場所の要請に応えて回線提供時間の延長など、柔軟に対応致しました。
 高白浜避難所区長より「インターネット回線を提供していただき、大変助かりました。避難所の生活スタイルに合わせて、夜遅くまで衛星回線を提供していただいたことに感謝いたしております。」とのコメントをいただきました。
 「きく8号」による通信回線提供は、初の災害対策支援にも関わらず、毎日のように続く余震の中、約2カ月に及び衛星、通信機材に大きな不具合の発生もなく、天候不良(強風)による中断を除き終始安定した通信回線を提供することができました。

 


可搬型90cmアンテナの設置状況


利用の様子